温泉地には「温泉湯豆腐」なるものがあるらしい。温泉湯豆腐と言えば、佐賀県の嬉野温泉などが有名ですね。私も以前「宗庵よこ長」で食べたことがありますが、ただの湯豆腐がここまで美味しくなるものかと感動したものです。
その感動をもう一度!
自宅で再現できないものか試してみました。
もくじ
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温泉湯豆腐の仕組み
温泉湯豆腐は、ただの湯豆腐ではありません。アルカリ性の温泉が、豆腐のタンパク質を溶かすことにより、ふわふわ食感を味わうことのできる湯豆腐です。
私が嬉野温泉で食べた湯豆腐は、湯豆腐が浸かっている汁が豆乳の様に真っ白になっていました。当時の私は「何の出汁だろう」と思っていましたが、あれは豆腐が溶けて真っ白に染まったものと最近やっと知りました。
レシピを調べてみると、様々なサイトに作り方が載っています。一番簡単なレシピは、沸騰したお湯に豆腐と一つまみの重曹を加えるだけでできるとのこと。
重曹と言えば大分県竹田市の温泉地「長湯温泉」が真っ先に思い浮かびます。思い立ったが吉日。早速、長湯温泉で温泉湯豆腐をつくってみました。
長湯温泉とは
まず、長湯温泉の紹介を簡単に行います。大分県竹田市に位置しており、重曹(炭酸水素塩泉)と炭酸(二酸化炭素泉)が大量に含まれている温泉が湧いていることで有名です。
炭酸泉は、大変希少な泉質です。日本全国には沢山の温泉が湧いていますが、天然の炭酸泉はその総数のわずか1%未満と言われています。しかし長湯温泉では、炭酸が含まれている温泉の湧出量が凄くて、かつ入浴に適している温度の温泉が湧いている為、そしてその濃度も濃い為、「日本一の炭酸泉」と言われています。
炭酸飲料をイメージすれば分かりやすいですが、炭酸は熱ければ抜けてしまいます。入浴に適している温度の炭酸泉は、本当に希少な存在です。
長湯の温泉は、血行促進効果があります。血流が良くなると、白血球の巡りも良くなる為、免疫力も上昇します。病気やウイルス予防にも最適です。
飲泉も有名で、マグネシウムや炭酸が含まれている温泉を飲むと、身体の中を刺激して消化器官を整えてくれます。とにかく長湯の温泉は、飲んで効き浸かって効く、素晴らしい温泉です。
調理開始
当日は「かどやRe」の温泉に入浴した後に、行動を開始しました。析出物にうっとりする、気持ちの良い温泉です。
1 温泉を汲む
長湯温泉は、飲泉が有名な温泉地で、飲泉場が幾つか点在しています。
今回はコロナダ飲泉場にて温泉を汲みました。ゴボゴボ掛け流される源泉を、有り難く頂きます。ミネラル豊富な温泉で湯豆腐を作ったら、身体に良いことは間違いないでしょう。
長湯のお湯は胃腸の薬。毎日飲泉して、身体を内から整えています。#大分県 #竹田市 #長湯温泉 #コロナダ飲泉場 pic.twitter.com/fUqDCUt7es
— ミーケ@温泉ブロガー (@k_noboro) 2020年3月17日
当然ですが、こちらの温泉にも重曹は沢山含まれています。重曹は加熱するとアルカリ性に変わる為、重曹にて温泉湯豆腐を作ることは十分に可能です。
そして、炭酸も注目すべきポイントです。炭酸水は、様々な調理に利用できます。加熱することにより炭酸成分が食材により浸透して、ふっくらフワフワ、柔らかく仕上がります。我が家では、肉を煮込む時に、ご飯を炊く時などに利用しますが、揚げ物でも用いることが可能です。炭酸水でコーヒーを淹れる方も多いです。
今回も炭酸成分の効果に期待しながら温泉を汲みました。
また、余った温泉は、毎日少しずつ飲んでいます。
2 具材を揃える
温泉水は確保できました。次は具材を揃えます。豆腐だけでは物足りないので、嬉野温泉で食べた「宗庵よこ長」の湯豆腐を参考に、あとは雰囲気で揃えました。
・豆腐
近所のお店の一番安いものを購入しました。私・妻・長女が食べる分として、一人一丁買いました。
・シイタケ
長湯温泉からの帰宅時に、「道の駅のつはる」にて購入しました。大分県はシイタケの生産が盛んな地域です。
・エビ
近所のお店で既に剥かれたものを購入しました。本当は大きいエビが欲しかったですが、少し高額だったのでケチりました。
・かまぼこ
近所のお店の一番安いものを購入しました。鍋が鮮やかになることでしょう。
・春菊
祖母の畑でできたものを頂きました。味の変化を期待します。
3 温泉に具材を加えて加熱する
まず、食材を適当な大きさに切り分けます。そして、土鍋に温泉水と豆腐を加えて煮込みます。
長湯の温泉は、少し濁っています。これに豆腐を投入。
沸騰してきたら、シイタケ、エビ、かまぼこを加えて、さらに10分程煮込みます。
最後に春菊をどさっと載せて、2分程煮込んで完成です。
うーん、全く美味しそうに見えない。何を間違ったのか?
実食
一番気がかりだった点として、温泉に含まれているマグネシウム等の金属系のエグミ、炭酸の苦みがどの様になるかという点でした。身体に良いことは良く知っていますが、お世辞でも美味しい味とは言えません。私は慣れていますので問題ありませんが、長女や妻に話すと猛反発を喰らうと思ったので、心配事は心の隅に仕舞って着実に調理しました。
まぁ失敗しても、最後はポン酢がカバーしてくれると信じていました。
さて、できました。最初はポン酢が無い状態で、出汁を味見してみました。
恐る恐る口に運びます。
「お!普通に美味い!」
加熱したことにより、炭酸の苦みがなくなり、金属系のエグミも感じられません。むしろ、アクセントになっています。さらにシイタケとエビを入れたのは正解でした。良い出汁が出ており美味しくカバーされています。妻と長女にも好評だったので、一安心です。
出汁の色は、春菊の緑が溶けだして、正直良く分かりません。しかし、調理前よりも濁っていることは確かです。タンパク質が溶けたかな。
さて、実食です。豆腐は、口の中に入れて少し舌で転がすとホロりと解ける様な食感でした。
「おぉ!!」
と思ったものの、豆腐自体が柔らかいので、正直自分の感覚に自信がない。冷たい豆腐を比較用に残しておくべきでした。
しかし私の感覚で柔らかくなったと思いましたし、豆腐の角の解れ具合や、何より美味しくできたことを踏まえて、長湯温泉で温泉湯豆腐はできたと判断しました。
まとめ
最後の方は、豆腐が「柔くなる、ならない」よりも、「あの苦い長湯の温泉が調理に使えるか、否か」に興味が行っていた気がしますが、今回は私含め3人が美味しいと判断して、かつ豆腐の柔らかさが増した(気がした)ので、大成功だったと思います。
温泉湯豆腐は、温泉成分が豆腐のタンパク質を溶かすことによりできあがります。今回は重炭酸泉を使いました。重曹で柔らかく、炭酸でふっくら出来上がったと思います。
今度は、嬉野温泉の様にアルカリ性の温泉でも試してみたいです。また、溶かすという点より、逆に酸性の温泉を使っても面白そうだと思いました。弱酸性で塩っ気のある鉄輪温泉でも試してみたい。
温泉は浸かるだけではありません。身体の中に取り入れて、身体を整えることも可能です。
次はどんな実験・・・いや、調理をしようかな。
おまけ
ちなみにお米は、大分県竹田市の「め組茶屋 ソーダの湯」で汲んだ炭酸水を用いて炊きました。ご飯がふっくら仕上がり、美味さが跳ね上がっている様に感じます。
「大地の恵みに感謝」
そんな感じの食卓でした。
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