とある12月の寒い夜、仕事帰りに王子温泉に入浴しました。
もくじ
スポンサーリンク
大分市で最も歴史のある入浴施設
王子温泉は、大分県大分市にある温泉施設です。大分市は広い範囲で香りの良いモール泉が湧出する、大変面白い温泉地で「大深度地熱温泉」と言われています。
その中でも、王子温泉のモール泉は特に濃いと有名です。九州温泉道の対象施設でもあり、特に意識している訳ではありませんが、2巡目のスタンプも順調に集まっている気がします。
目的地に到着しました。建物横に自動車が縦列で2台程駐車できそうな前面道路に沿って細長いスペースがあり、そちらに自動車を止めました。真っ暗な路地に明るい「王子温泉」と記載された看板が温かく感じます。
中に入ると、レトロな空間が広がっています。王子温泉の創業は、大正2年(1913年)です。既に100年以上営業しており、大分市内で最も歴史のある温泉施設と言われています。その後、昭和33年(1958年)に改修をして、昭和56年(1981年)に源泉を掘削して温泉が楽しめる様になりました。
街中で昭和の時代にタイムスリップ
男女別出入口の間に番台があり、そちらで料金を支払って脱衣コーナーへ向かいます。まず一番初めに目に入るものが、年季の入ったロッカーです。こちらは昭和33年に設置されてから一度も取り替えていないロッカーとのこと。先人達の技術と知恵が織り込まれた作品に胸が熱くなります。
こちらのロッカーですが、驚くことに鍵穴がありません。「え?どうやって鍵をかけるの?」と思いませんか?
せっかくなので、こちらのレトロなロッカーの使用方法についてご説明させて頂きます。
レトロなロッカーの使用方法
~トビラを閉める場合~
手順1
荷物と衣服をロッカーに詰め込む。
手順2
トビラ裏の「落し」を持ち上げながら、トビラを締める。
手順3
トビラを完全に締めると、「落し」が下に落ちて、ロック完了。
上記で記載している「落し」とは、縦に設置されている木のカンヌキの様なものです。
「ちちちちょっと待って!開ける時どうするのよ?」
裏の「落し」を持ち上げることができなければ、トビラを開けることはできません。そして、表から「落し」を持ち上げることは、超能力を使わない限り不可能です。
ご安心下さい。解錠するには、とある器具を使います。
~トビラを開ける場合~
まずは下記写真の器具を手に持ちます。これが鍵となります。
手順4
トビラにある小さな穴に、器具を差し込みます
手順5
器具の先端を「落し」の欠け込みにひっかけます。
手順6
器具を上に捻り、「落し」を持ち上げて手前に引くとトビラは開きます。
調べてみると、この様な鍵は、江戸時代の倉などで使用されていたみたいですね。その後、木札を差し込む鍵ができて、それが金属に変わり、今では電子ロックの鍵もできています。当然ですが鍵にも歴史があります。
現役でこの様なロッカーが使われている施設は、他にあるのでしょうか。大変古いものであるにも関わらず、滅多に遭遇しない影響で逆に新鮮さを感じます。
大分市トップレベルの濃さを誇るモール泉
浴槽は、「あつ湯」「ぬる湯」と分けられていますが、ぬる湯でもやや熱め、あつ湯は結構熱いです。しかし、入浴できない温度ではありません。身体を駆け巡る熱い刺激が心地良い。
温泉は、真っ黒です。まるでコーヒーの様な温泉です。大分市内でも1位、2位を争う濃さだと私は思います。熟成された深い木々の様な香りも楽しむことができて、目を閉じて木々を思い浮かべると、温泉に浸かりながら森林浴ができそうな程です。モール泉と炭酸水素塩泉の影響で、肌もスベスベです。
浴槽内には、風呂桶としてケロリン桶が用意されていました。温泉通でケロリン桶を持ち歩いている方は、自分のものと間違われない様に注意しましょう。ちなみに私は、ケロリン手桶を持ち歩いています。
あつ湯に浸かり、暑くなっては出て身体を冷ましてまた浸かる。その行為を5度程繰り返し、温泉を身体に馴染ませて湯から上がりました。身体も芯から温まり、入浴直後は汗が止まりません。
寒い冬は、やはり温泉ですね。体温の上昇は、免疫力の向上に繋がります。身体を温めて、寒い冬を乗り切りましょう。
王子温泉の基本情報
電話番号:097-532-8438
アクセス:大分自動車道「大分IC」より、自動車で約10分
泉質:ナトリウム-炭酸水素塩温泉
pH値:8.3
メタケイ酸:159.8mg
▽過去記事はこちら
スポンサーリンク
2019.12入浴